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ファイナルファンタジー13

今更ですがファイナルファンタジー13をプレイしてみました。(遅い)
ちまたではFF13-2の発売を年末に控えていますが、「そういえばFF13まだやってなかったなぁ?」と思い出し、PS3用のソフト3本目として購入。
っていうか、本体発売時に予約までして購入したPS3用のソフトがこの5年間で3本ってどういうことよ?
宝の持ち腐れとは正にこのことです。
ネット上やamazonのレビューなどで「一本道ゲー」「○ボタン連打ゲー」「ムービーの間に戦闘」など、さんざんな言われようのFF13ですが、実際の所どうなのか?

▼参考までに
私は『FF1』,『2』,『3』,『4』,『5』,『6』,『7』,『8』,『9』,『10』,『10-2』,『12』をクリア済み。
オンラインの『FF11』はベータテストだけやってみましたが、操作性や画面インターフェースが使いにくかったので課金はしませんでした。
『FF14』はやってません。

以下、プレイ感想。(一応クリアしました)

■グラフィックがすごい
プレイして最初に目に付くのは当然ながらその綺麗で精細なグラフィック。
フィールド移動中に立ち止まってカメラの視点を変えるだけでも、立派な映像として価値のある一枚絵となります。
大草原や夕日などをバックにして立つライトニングの髪が風で揺れる様子は思わず声が漏れるほどに美しい。
ムービーの多さと画質もこれまでのFF以上です。
流れるようなキャラの動き。それとは反対にアップになった時の肌の質感や表情など確実に進歩しています。

■新しい形の戦闘スタイル
自分以外の味方キャラをコンピュータの操作に任せて、全体の方針だけを支持するオプティマというシステム。
これがとても奥深い。

序盤は単調な戦闘が、オプティマ解放と同時に楽しくそして複雑になっていきます。
考え方としてはドラクエ4の「さくせん」と同じなのですが、コンピュータの学習能力が人間並みに高いこととアクティブタイムバトルというリアルタイムのシステムとの融合性が非常に良く、この試みは成功したと言って良いのではないでしょうか。
『敵の攻撃が苛烈な時は回復や防御を重点にしたオプティマで耐え、頃合いを見計らって攻勢に出る』という、リアルタイムだからこそ生きたシステムだと思います。
スピード感にあふれ、アグレッシブな動きをする生き生きとしたキャラクタと画面を飛び交う魔法のエフェクトは見ているだけでも壮観です。

■味方のコンピュータが賢い
味方のキャラは敵の弱点を的確に突き、効果のない攻撃はすぐにあきらめて他の方法を試そうとします。
そのため同じ敵でも「弱点のわからない初見の戦闘」と「弱点がわかっている2度目以降の戦闘」では効率が全く違います。
クリフトくんの学習速度とは雲泥の差です。

■読み込みが早い
フィールド移動時や戦闘突入時などの読み込みが早く、ストレスを感じませんでした。
全く待ち時間がないとはいいませんが、あれだけのデータを読み込んでおきながらこのスピードはすばらしいと思います。
またセーブデータ読み込み時も待ち時間に「それまでのあらすじ」を流すことで、待たされるストレスを軽減するなど工夫がされていて好感が持てます。

■やり込み要素が結構充実
武器やアクセサリの改造やミッションコンプ、戦闘毎のクリアタイムなど、シナリオクリア後にも楽しめる要素がたくさんあります。
私自身はやり込み系のゲームに興味がないのですが、それ系が好きな方にはたまらないと思います。

■音楽が美しい
なにげにピックアップされることが少ないですが、FF13のBGMは秀逸です。
場面場面に合った壮麗な音楽はグラフィックにも決して劣ってはいません。

が、しかし最近のFFをプレイしていて常に考えること
「これってゲーム?」
「そもそもゲームの定義って何?」

という疑問を今回も強烈に感じてしまいます。

■ほとんどムービー
印象としてはムービーと戦闘がこの作品の9割を占めています。

歩いて → ムービー見て → 戦闘して → ムービー見て → 歩いて → ムービー見て
この繰り返し。

RPGにとって戦闘が大きなウェイトを占めるのは多くの作品に共通することですから違和感はありませんが、このゲームからムービーを取り除いたら何が残るのでしょう?
スクウェアはゲームではなくムービーが作りたいだけなのでは?
開発予算と工数の半分以上がグラフィックとムービーに費やされているようで気になります。

■一本道の進行
前評判でもさんざん聞いていましたが、実際にやってみて感じました。

「確かに一本道だわ」

11章の大平原を除いて、ただただ分岐のない道を進んでいくだけ。
しかもストーリー上、逃避行や隠密行動がずっと続くので爽快感もなく鬱な印象のままです。
なんというか、ホッとするような場面が全然ない。
雰囲気でストレスたまりまくりです。
これが2時間程度の映画なら良いんですが、数十時間のプレイ中ずっと息が詰まるような展開ではいただけません。
自由に動き回れるようになるのはラストダンジョン直前というあんまりな仕様です。

■ストーリーの展開が安易
よく言えば王道。悪く言えばどこかで見たような展開。
ハリウッド映画の劣化版のようなストーリー。
小学生や中学生くらいの子供相手なら十分な内容かも知れませんが、映画や小説のストーリーをいくつも知っている大人相手にお金を取れる物語ではありません。
あまっちょろいセリフを吐きまくるスノウのお子ちゃまっぷりは興醒めですし、ホープのお父さん置き去りにしていこうとする(それまでの流れから考えて、ルシと接触した肉親が「脅されて仕方なく」と言っても聖府が聞く耳持つわけないのに置き去りって、あんたら鬼か?)など粗も多いです。

全体的に「キャラにセリフでしゃべらせときゃ良いだろ」みたいな雰囲気が漂います。
ミュージカルじゃないんだから、心理描写とか決意とかいちいち説明がましいセリフにする必要はないでしょう。

■序盤の戦闘が単調すぎる
オプティマを使えるようになるまでの戦闘はただの○ボタン連打ゲームです。
スキルや魔法が使えるわけでもなく、ただ肉弾戦を挑むかアイテムで回復するだけ。
おまけに自動でコマンドを選択してくれるおかげで、○ボタンさえ押していれば勝ててしまいます。
最初は「なんというゆとり仕様!」と思いましたが、オプティマが使えるようになってからはおもしろくなりました。
ただ、オプティマの解放が遅すぎます。
もっとはじめの方(最初の小ボスを倒したあたりとか)で解放して良いんじゃなかっただろうかと思います。

一本道のマップムービーばっかり単調な○ボタン連打戦闘

のコンボは正直楽しむ要素が全くない。この時点では単にグラフィックが綺麗なクソげーです。

■メンバー変更が頻繁に起こる
ストーリーの進行でころころとパーティが入れ替わるのはいただけません。
ようやくそのメンバーでの戦い方を確立したと思ったら勝手に変更させられます。
オプティマもその都度設定しなければならないので大変です。
メンバーの組み合わせ毎にオプティマの自動保存とかあれば嬉しかったですね。
特に召還獣戦とかイベントで突然戦闘に突入する場合、初見の戦闘では大抵勝てないので一回リスタートして設定変更するのが必須になってきます。

■敵のHPが高すぎ
その辺をうろついているザコ敵でもHP10万とかあたり前ですし、ボスにいたってはHP300万とか…。
そのため倒すのに非常に時間がかかって面倒くさい。
一切レベル上げ作業をせずにストーリーを進めていくと、ザコ戦闘でも終了まで1分~2分必要です。
(戦い方を確立すれば30秒程度でも勝てるようになる)
一方で主人公達の攻撃力はそれほど高くなく、ブレイクをしないとなかなか戦闘が終わりません。
ブレイク1回で倒せれば良いのですが、ザコでもブレイク2回が必要な場合があったりしますし、ボスにいたってはブレイク4~5回を覚悟する場合があります。
(レベル上げ作業を地道にやってればそこまでかからないでしょうけど、私そういう作業きらいなんで)

■召還獣が役に立たない
召還獣といえばFFシリーズの伝家の宝刀。そして戦闘シーンの華。
ザコ敵に使うのはもったいないくらいの威力を持ったバランスブレイカーでしたが、本作では全くと言って良いほど役立たずです。
ザコ敵のHPを半分減らせれば上出来という程度のしょぼい威力と使い勝手の悪さ。
正直私はHP回復用にしか使っていませんでした。
おまけに見た目がかっこ悪い。
あれだったらグラフィックは粗かったですけどFF7やFF8の方が演出含めて良かったです。

結局ですね、クリアし終わって持った感想は

総じて面倒くさい

FF2よりはマシでしたが、『 FF2 > FF13 > FF3 』くらいの位置には入りそうです。

敵の弱点や行動パターンを見極めて、対策を練り、オプティマを組み替え、装備を変更しなければボス敵相手には太刀打ちできません。
また、ザコ敵相手でも運悪く集中攻撃を受けるとあっさりゲームオーバー。
(いくらリスタートが無限に出来ると言っても面倒くささは変わらない)
FFのナンバリングタイトルじゃなければきっと中盤で放り投げていたことでしょう。

これは本当にゲームなのか?
広い意味では「楽しめるものは全部ゲーム」でしょうから、そういう意味では「おにごっこ」も「FF13」もゲームでしょう。
ただこれがRPGゲームかと言われると正直疑問です。
FF7あたりからの流れですが、ムービー色が強くなってストーリーを『外』から見物している感がぬぐえません。
「プレイヤーがキャラクタになりきる」というRPGの根底部分からはどんどんかけ離れていってるように思えます。

あくまでも個人的な感想ですが、『クリアするまではムービー+作業』『クリアしてからがゲーム』かな?と。
ゲームとしての楽しさは11章とクリア後の2箇所でしか感じませんでした。
「グラフィックすげー!ムービーすげー!」と言いながらも、楽しさよりも「作業感」と「ただ見ている感」が強かったので。

FFのナンバリングタイトルはシリーズを重ねるにつれてグラフィックが進歩していますが、その反面ゲーム性は低下し続けているように感じます。
悲しいことですけど『FFをプレイしない日』がそのうち来てしまうのかもしれません。
いずれにせよ、今の状態が続くようならFFを発売日に定価で買うことはないでしょう。

※ファイナルファンタジーだからこそ辛口になりましたが、作品そのものとしてのレベルは低くありません。
これがFFと全く関係ないタイトル名で発売されていたらここまで酷評することはなかったでしょう。
ですが、ドラゴンクエストとファイナルファンタジーは日本のゲーム業界そのものが向かっていく方向性を占うタイトルということから、どうしてもハードルが高くなり感想も辛くなってしまいます。
あまりに影響力の強い作品がこんな出来だと困るという危機感の表れがネットやamazonレビューの酷評につながっているのではないかと思います。

あ・・・、あと蛇足ですが高精細画面対応のFF13は高精細に対応していないうちのTV画面でプレイすると文字がつぶれて画数の多い漢字はほとんど読めません。
アイテム名なんて何が何だか・・・w