home 第6回ウディコン ロードライト・フェイス

ロードライト・フェイス

■タイトル ロードライト・フェイス
■作者 「ud」さん http://mhdc.digi2.jp/
■ジャンル RPG

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第六回ウディコンで一番楽しめたのがこの「ロードライト・フェイス」でした。

ジャンルで言うと、RPGでしょうか。
マップは無く、移動は『前に進むだけ』というシンプルなものです。
50歩進むとエリアボスとの戦闘に突入し、ボスに勝つと次のエリアへと移ります。
エリアは全部で5つ。つまり250歩進むとゲームクリアというわけです。

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道中はランダムエンカウントの敵に遭遇するイベントの他、落ちているアイテムを見つけるイベント、あるいは商店での買い物や単なるメッセージイベントなどが用意されています。
敵と遭遇した場合は戦闘に突入します。勝てばそのまま進むことができ、負ければゲームオーバーです。
ゲームセーブは道中に出てくるセーブポイントでのみ可能。

このゲームの大きな特徴として、所持する武器に『使用回数制限がある』点が挙げられます。
それ自体は商業ゲームでも時折使われるシステムですが(魔界塔士Sa・Gaとか)、おもしろいのは使用回数が『1』にまで減った状態での威力です。
使用回数『残り1』になった状態の武器は『最後の一撃』という強力な攻撃になるため、高い威力を持つ武器として使えます。

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もちろん使えば使用回数がゼロになるので武器自体は無くなりますが、単に無くなるだけではありません。
使い切った武器に応じて『Faith(信仰点)』というポイントを取得することができ、道中にて訪れるフォルティア教会でFaithを使って自キャラのステータスアップをすることが可能になるのです。

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というか装備アイテムによる補正以外に、ステータスアップをすることができるのはこの方法だけになります。
このゲームではレベルアップしても増えるのは『LP』(生命力)だけだからです。
筋力・魔力・敏捷はFaithを消費して強化するか、装備アイテムで底上げするしかありません。
ちなみにこのゲーム。筋力などのステータスは開始時が3とか、高くても6程度。特定のステータスに特化して伸ばしたとしても、クリアまでに10へ届くのがせいぜい。運が良ければ15位まで伸ばせるか、というところです。
だからこそ、能力が1違うだけで攻撃力には結構な差が発生し、2とか3違ってくると目に見えて威力の違いが実感できるようになります。

例えば『筋力武器』なら、攻撃力は

『筋力』の値 × 武器の威力

で計算されます。

威力5の武器を使ったとして、筋力3の時は攻撃力が15ですが、筋力が5になれば攻撃力は25まで増えます。筋力10になれば攻撃力は50です。

だからステータスを伸ばすときは、まんべんなく伸ばすのではなく、どれかひとつに絞って集中的に伸ばした方が攻略が楽になります。
極論を言うと、例えば『魔力だけを集中的に伸ばして、攻撃手段は終始魔力武器だけを使う』というのが一番効率的です。

ところがここで問題になるのがランダム要素。
初期装備を除き、このゲームでは入手できるアイテムがランダムで決められます。
基本的な入手方法は『落ちているアイテムを拾う』『商店で購入する』の2つです。

アイテムを拾う方に関しては完全に運任せ。
イベントが発生したとしても入手できるアイテムが武器とは限らない、たとえ拾ったのが武器だったとしてもそれが筋力武器か魔力武器か敏捷武器なのかも運任せです。

もうひとつの入手方法『商店で購入する』についても運の要素があります。
販売している商品はひとつの商店で最大4つです。これには武器以外のアイテムも含まれているので、運が悪いと「筋力武器が欲しいのに魔力武器と敏捷武器しか無い!」なんてこともあります。
加えて商店で購入する時に必要となるのはお金ではありません。そもそもロードライト・フェイスにはお金の要素が無いからです。
じゃあ何を使うのかというと、『LP』がお金の代わりに消費されます。しかも減るのは『LPの現在値』では無く『LPの最大値』の方です。

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例えばLPの値が『120/190』(現在値120/最大値190)の時に価格20のアイテムを買うと、LPは『120/170』になります。
これが結構痛い。あまりホイホイと買い物をすると、戦闘の際に苦戦するのが目に見えています。
おまけに商店の品はすべて1点物です。たまたま自分にぴったりの武器があったからまとめ買い――とはいきません。
自分のステータスに合った武器を常にストックすることができれば難易度は劇的に低くなります。ところがランダム要素がそれを易々とは許してくれない、というのがこの作品のゲーム性を深くしています。

加えて、ロードライト・フェイスでは武器を含めてアイテムを6つまでしか所持できません。
アイテムの種類には武器のほか、LPの回復アイテム、防護を挙げる防具、能力値を上げるアクセサリ、戦闘から逃走するための道具などがあります。これらの中から6つだけを所持するのですから、必然的に持てる武器の数も少なくなります。
もちろん6つの枠をすべて武器で埋めてしまってもかまいませんが、それでも6つしか持てないのです。
だから大量の武器をキープしておくという方法は使えません。

結果、手持ちの武器をいかにうまく管理活用するかが非常に大切になります。
おまけにその武器には使用回数制限があり、使っていればいずれ無くなります。パンチのような低威力の武器は使用回数も25と多いですが、ほとんどの武器は12回とか10回とか、強力な武器は6回、5回と少なくなります。
ランダムエンカウントもそれなりの回数発生するので、ひとつの武器だけでエリアを踏破することはおそらく無理でしょう。

武器を消費しながら戦い進み、武器が全く無いという事態に陥らないよう管理し(※攻撃手段が無くなるとランダムエンカウントした時点でゲームオーバー)、ランダム入手するアイテムの乱数に翻弄される。これがロードライト・フェイスの難しさであり面白さでもあります。

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例えば『使用回数残り2回のレイピア』を持っていたとします。
・進んでいたら商店イベントが発生しました。
・手持ちのアイテムは既に一杯ですが、武器はレイピア以外にまだ2つあります。
・商店には新品のレイピアが置いてありました。

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さて、どうするか?
使用回数残り2回ということは、ランダムエンカウント1回で使い切れる回数です。
しかも最後の攻撃はダメージ増加の強力な一撃。加えてアイテムを使い切ることでFaithも入手できます。
武器に余裕があるから、買い物をせずに残り2回のレイピアを使い切るか?
それとも新しいレイピアを入手する機会を逃さずに買っておくか?

この頭を悩ませる過程がロードライト・フェイスの味わい深いところでは無いかと思います。

その判断も条件が変わればまた異なるでしょう。
レイピアの使用回数残りが1回とか、逆に5回とかだったら判断も変わるでしょうし、レイピア以外の手持ち武器が自分の得意とするステータスに適してない(敏捷特化なのに筋力武器しか持ってない)場合、また違った選択をするかもしれません。
戦った直後でLPが減っているなら、武器を使い切らずに捨てる(神に捧げる)という選択肢もあります。
※アイテムを神に捧げるとLPが最大値まで回復する。

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このゲーム。突き詰めれば『手持ちの武器をどうやりくりするか』に行き着きます。
攻撃手段としてはもちろんのこと、神に捧げればその場でLPを回復し、戦闘で使い切ればステータスアップのために必要なFaithが手に入る。おまけに最後の一撃だけはダメージ増加です。
たった6つという少ないアイテム枠の中で、いかに攻撃手段を確保しつつ、どれだけ武器を無駄なく使うかというマネジメントを求められます。
言葉にするとシンプルですが、武器の使い道が攻撃以外にもあり、そのどれもが重要な要素であることがこのゲームに奥行きを与えています。

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このゲームには全7種類の職業が準備されていて、その中からひとつをスタート時に選択します。
それぞれ初期ステータス値と初期所持品が異なり、ステータス成長がしやすいとか敵の武器を盗めるといった特性を持っています。
最初に選ぶ職業は『剣士』がおすすめ。

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攻撃の回避率やクリティカル率が高く、他のゲームでよくある敏捷特化職のように攻撃力が低いという弱点もありません。敏捷武器を使えば攻撃力は『敏捷ステータス × 武器の威力』なので、火力不足になることもないでしょう。(防護点の高い敵は苦手なので、エリア3に出てくるソルジャーのような敵には要注意)
敏捷の値が高くなるにつれて、敵の攻撃は避ける! クリティカルも連発する! と、なかなか爽快です。

1プレイ30分ほどで終わる短いゲームですが、クリア時またはゲームオーバー時に所持していたアイテムを次のプレイに引き継ぐことが可能です。
最初は敵にやられたり武器が尽きて死んでしまうこともあるかもしれませんが、2、3回引き継ぎをして有用なアイテムを引き継げば少しずつ先へ進むことができるようになるでしょう。
もともとこのゲーム、周回を前提とした作りになっています。
1プレイ20分から30分程度なので、気軽に遊べますしね。

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スーパーアーマー×2とか引き継げば序盤でダメージを食らうこともほとんどありませんし、逆にステータスアップのアクセサリを×2とか×3で持っていけば最初から高打撃力を保有できます。
もちろんその分武器の所持数にしわ寄せがいきますけど。

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ロードライト・フェイスは熱中度、ゲームとしての楽しさにおいて非常に高いレベルを持った作品だと思います。
もちろん、操作性が良いこと(無駄なキー使用をプレイヤーに強いることがないというのも操作性の良さと言える)、しっかりとテストプレイをしていることが感じられるゲームバランスであること、バグ取りを丹念に行っている品質の高さが確保されていることもおすすめの理由です。

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もちろん個人の好みがあるので、こういったゲームを受け入れられない人もいると思います。
ですが少なくとも丁寧な作りであることは疑いようが無いので、大半の人にはおすすめできる良作です。