【第五回ウディコン】エントリー作品 No.66
■タイトル
Elemental Speller ~人喰い迷宮と不思議な少女~
■作者
「幾山アカリ」さん
http://yotabanashi.xxxxxxxx.jp/index.html
■プレイ時間
30分
■ジャンル
3DダンジョンタイピングRPG
■プレイ感想
3Dダンジョンを進んで戦闘ではタイピングによって敵を倒すというRPGっぽいゲームです。
一応経験値を入手してレベルアップしていくのでRPGっぽいとは書きましたが、実際にはその要素はかなり薄いです。
入った人間が帰ってこないダンジョンへ、行方不明者救出のために潜っていくというストーリー。
操作性も、インターフェース周りやバランスの調整もとても良く、作りの丁寧さがにじみ出ています。
短いストーリーながらも、起承転結がしっかりしていて過不足無く、作者さんのシナリオ作成能力の高さがうかがえます。
戦闘ではキーボードタイピングによって攻撃や回復を行うのですが、レベルアップして魔法を強化すると威力が増す代わりにタイピングの文字数が増えるというのが良いですね。
威力を上げて一撃のダメージを増やすか、あえて威力を上げずに手数で勝負するかはプレイヤー次第です。
ただ、タイピングする文字列が完全にランダムな英数字なので、普段タイピングに自信がある人でもちょっと苦戦すると思います。
私自身、日本語の文章やプログラミングで使う予約語なら考える前に手が動きますが、「QL8FM」のようにランダムな文字列になると結構手が遅くなってしまいます。
何気にダンジョンには一方通行の壁や回転床がちりばめられ、ほどよいアクセントになっています。
広さもほどほどですし、オートマッピング機能があるので初心者でも大丈夫でしょう。
立ち絵もきれいですし、 壁にぶつかると表情がちょっと変わるような細かいところも好感が持てます。
1点だけ気になるところを言えば、会話や戦闘終了時にメッセージを消すために決定キーを押すと、そのままマップ表示になってしまうところでしょうか。(マップ呼び出しが決定キーのため)
ちょっとウェイトを挟めば回避できると思います。
逆に言えばそれくらいしか不満はありません。
グラフィックも良いですし、シナリオもきれいにまとめられ、全体を通してのバランス調整もGOOD。
得てしてこういうタイプのゲームは敵とのエンカウント率が高くてうんざりするのですが、この作品の場合は忘れた頃にエンカウントするくらい敵との遭遇は少ないです。
それでもきちんとレベルアップしてボスと戦うのに十分なレベルが得られます。
ボリュームの少なさは仕方ありません。
むしろこのシステムで10時間プレイの長編ゲームを作られても、その方が問題ありでしょう。
短編だからこそ、このシステムがちょうどいいんだと思います。
タイピングゲームとしては物足りなさがあるとはいえ、バランス良くまとめられた品質の高い作品だと思います。