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ライトジーンの遺産

■タイトル
ライトジーンの遺産(ライトジーンのいさん)

■著者
神林長平(かんばやしちょうへい)

■あらすじ
原因不明の臓器崩壊という全人類危機と、崩壊する臓器の代替手段としての人工臓器が当たり前となった未来。
超常的な能力を持つ「サイファ」であり、人工的に作られた人間でもある主人公の「菊月虹(キクヅキコウ)」が臓器崩壊に翻弄される人々と人工臓器にまつわる様々な事件に巻き込まれていく。

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SFにありがちな臓器崩壊や超能力といったテーマを扱いながらも、あくまでも焦点が当てられているのは臓器崩壊にかかわる事件とそれを取り巻く人間模様です。
人工臓器メーカーの不正とそれを許せない新人刑事の義憤、親子の愛憎、陰謀に巻き込まれた弱者の悲哀、死にたいのに死ねない男の苦悩といった物語がハードボイルドタッチで綴られていきます。
舞台はSFになっていますが、発生する事件や人間模様は現代の社会問題を鋭く突いていて、読み応えたっぷりの内容です。
全7話のオムニバス形式になっているので1話分を読むのにさほど時間はかかりませんが、休みの日などに長い時間をかけて一気に読み終えれば心地よい読後感に浸れます。