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何をもって転売ヤーと定義するのか?

Nintendo SwitchやPS5、果てはガンプラやマスクの買い占めなんかで最近よく話題になる転売ヤー。
人の足下を見て高額転売するその手法に憤りを感じている人も多いのではないでしょうか?

多分ほとんどの人は嫌いなんじゃないかと思うんですが、その一方で転売を擁護する人も当然居ます。

というか、その論争を見る感じ転売を擁護するというよりは転売の定義に関して意見が合っていないだけのような気がします。

擁護派の中には転売ヤーを非難しつつも転売自体は肯定する人がいるんですけど、その主張は「転売が悪だと言うなら商社や小売業だってすべて転売じゃないか」ということらしいです。

で当たり前の事ですがそれを非難する転売否定派との衝突がよく目につくんですけれど……。

これ見て思ったんですよ。

何か論点ずれてない?

多分否定派の人は人の足下を見て暴利をむさぼる行為に怒っているのに対して、肯定派の人は転売の定義について主張している感じがするんですよ。
お互いにあさっての方向へ攻撃し合っているような、見ていて首をひねる論争が繰り広げられていました。

おそらくこの論争、転売否定派と転売擁護派の争いに見えて、実は三つ巴の論争なんじゃないでしょうか?

転売否定派と転売擁護派以外にも転売肯定派という第三勢力という肯定派がいる気がします。

  • 転売否定派……転売は悪!
  • 転売擁護派……違法じゃない! ただの経済活動だからOK!
  • 転売肯定派……そもそも商売は転売が基本!

こんな感じ。

で、否定派は擁護派に対する非難を(擁護派と同類に見えるから)肯定派へ向けて浴びせ、肯定派も実は擁護派とは違う主張をしているにもかかわらず否定派からの攻撃に反射的に言い返している。みたいな印象を受けました。

多分これ、各自の頭の中にある「転売」の定義がそれぞれ違うのが原因なんじゃないかと。

ということで転売の定義をググってみました。

まずは辞書。

てん‐ばい【転売】

[名](スル)買い取った物を、さらに他に売り渡すこと。またうり。「土地を転売して差額をもうける」

デジタル大辞泉(小学館) goo辞書(https://dictionary.goo.ne.jp/)より

てん‐ばい【転売】

〘名〙① 買った物を、さらに他に売り渡すこと。またうり。※続日本紀‐天平元年(729)一一月癸巳「不本加功人転買得家」※江戸繁昌記(1832‐36)二「初めを十金に鬻(う)る。〈略〉又之を七十金に転売す」② 「てんばいかいもどし(転売買戻)」の略。〔投機市場論(1926)〕

精選版 日本国語大辞典 コトバンク(https://kotobank.jp/)より

どちらも『買った物を、さらに他に売り渡すこと』と定義されています。

先の論争において、転売否定派と転売肯定派が意味もなく衝突しているのって、この定義の受け取り方がそれぞれ違うからだと思うんです。

実際、肯定派が「転売が悪なら商社がやっていることも悪になるじゃないか」と主張すると、否定派は「商社は世に知られていない商品を広め、仲介するという社会的役割を果たしている」「商社の場合は生産者も消費者もWin-Winとなるが、転売ヤーは生産者にも消費者にも迷惑」と反論します。

ここで先ほどあげた辞書の定義を振り返ってみます。

転売とは『買った物を、さらに他に売り渡すこと』です。

辞書通りに受け取るなら、商社も買った物をさらに他へ売り渡しているのですから転売と呼んでも間違っていません。
なぜなら辞書の定義には物の売買を通した社会的役割や意義などは含まれないからです。

このことから「商社がやっているのは転売ではない」という否定派の主張は辞書的な意味においては間違っているということになります。

おそらく肯定派がやっきになって主張しているのはこの点なのでしょう。
肯定派の人たちは擁護派のように転売ヤーの行為を容認しているわけではなく、単に否定派が商社の商行為を転売と認めないから噛みついているんだと思います。

思うんですがこれ、転売ヤーという言葉そのものが悪いんじゃないでしょうか?
もしくは転売という言葉に対する辞書的な意味と社会的な認識のズレが悪いのかもしれません。