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転売ヤーの規制は可能なのか?

前回までの記事を読んだ方の中には私のことを転売擁護派や肯定派だと思う方もいるでしょうが、ハッキリ言っておくと私は否定派でも擁護派でも肯定派でもありません。

どうでも良い派です。

私は定価以上のプレミア価格で物を買いたいとは思いませんし、なんなら定価ですら買うことは少ないくらいです。ゲームとかもほとんど中古ですませてます。

よほど欲しいものだったり、そのコンテンツ制作者に報酬を還元したい場合であれば定価で買いますが、それでも出すのは定価までですね。
PS5にしろガンプラにしろ、どうしても発売日に入手したいってほどのものはありません。

品不足で入手できなくてもそのうち熱は冷めて供給量が増えれば市場に出回るようになるでしょう。その時になって買えばいいや、というタイプです。
ファイナルファンタジーみたいな大作ゲームなんてどうせ一年もすれば中古市場で値崩れして、あげくの果てに980円とかになるのがわかりきっているんですから。

SwichやPS5のような人気ゲーム機もほっとけばそのうち手に入るようになります。そもそも買えなかったからって死ぬわけでもない。
ただしマスク、お前だけは別だ!(だから法律で規制されたわけですし)

数量限定品とか期間限定品もそこまで欲しいとは思わないです。
食事するときも行列のできるお店とか絶対行きませんので。並ばなくても食べられるおいしいお店なんていくらでもありますもん。

転売ヤーが売っている暴利商品についても「買いたい人がその値段で納得できるなら買えば良いんじゃないかなあ? それが市場経済ってもんだし」という感じです。

ただまあ確かに、買い占めによって本当に買いたい人の手に商品が届かないというのは多少問題があると思いますけどね。

どうやったら転売ヤーを排除できるか

ということでみんなを困らせる転売ヤーをどうやったら排除できるのか考えてみます。

「そんなもん、転売ヤーから買う人間がいなくなりゃそれで解決するじゃないか」

という意見も当然あるでしょうが、世の中から売春がなくならないのと同じで言ってることは間違ってないけど現実的じゃない話ですよね。

メーカーやお店側もいろいろ手を打っているようですが、全てのメーカーと全ての販売店が同じように対策を打てるわけではありません。
個々のケースでは転売ヤー爆死案件も発生し、「転売ヤーざまぁw」などと人々が溜飲を下げることもありますが、それも一部でのこと。

やはりマスクの時のように法律で規制するのが一番現実的かつ効果的なのかなあ、と。

で、そう考えたときにやっぱり問題となってくるのが何をもって転売ヤーとするのかという定義のお話です。

法律にするなら、誤解無く、あいまいさを排除して転売ヤーとは何かを定義しなければ話が進みません。

転売そのものはまっとうな企業も日々行っています。(前回の記事を参照
『転売は違法』なんてことになれば日本全国数万、数十万の会社や個人事業主が法律違反を犯すことになってしまいます。

当然転売という行為を一緒くたにして規制することは到底無理です。

規制をかけるならまっとうな転売者転売ヤーを明確に区別する基準が必要でしょう。

企業なら規制対象外にする

では商社や貿易会社など業として転売をしている事業者を除外すれば良いのか、というとそうもいきません。

知らない人も多いかもしれませんが、企業ではなく個人事業として小売店を経営しているところは山のようにあります。
例えば全国にあるコンビニ。
そのほとんどは個人オーナーの経営する零細事業所です。
最近はひとりのオーナーが複数店舗展開することも増えたため会社組織になっていることもありますが、それでも個人事業として経営しているコンビニオーナーはまだまだ多いです。

事業者なら規制対象外にする

じゃあ個人事業主も含めて事業者だったら規制の対象外にすれば良いのか、というとそれも難しい。

個人事業主になるのって簡単なんですよ。
税務署に届出をするだけですから手続きは1時間もかからず終わります。株式会社と違って資本金だっていらないし許可や免許だって(特定の商品を取り扱う場合を除き)必要ありません。

もし「事業者は規制対象外」となっても、全国の転売ヤーが個人事業主として届出をして何食わぬ顔で今まで通り活動するだけです。

世の中の役に立っているなら規制対象外にする

「転売ヤーと商社を同一視するな!」という転売否定派の意見に、「商社は世の中の役に立っている」「転売ヤーは迷惑しかかけない」というのがあります。

ですが「役立つ」「迷惑」というのはあくまでも感情論でしかありません。
法律で規制対象としてフォーカスするのにそんなあいまいな基準が使えるわけもないでしょう。

小売業者から購入した商品を転売したら規制対象にする

これならまっとうな商売をしている事業者は除外できます。

しかし問題もあります。

ひとつ目の問題

ひとつは転売されている商品が小売業者から購入した物か、それともメーカーや問屋から購入した物なのかを消費者は判別することができないという点。

この問題を解決するには、例えば仕入証明のようなものを全ての商品に添付することを義務付けるとか、あるいは販売を行っている店舗・ネットショップで全商品に関して小売業者から購入したものではないことをチェックするという、現実的ではない対応が求められます。

実際にこれをやっているAmazon

Amazonではブランド品など一部の商品について正規のルートで仕入れた物であることを証明しなければ販売できないよう管理されています。その結果転売ヤーが小売店から購入したブランド品をAmazonで出品することは不可能となっています。
この仕組みをブランド品以外の全商品にも適用し、ヤフオクやメルカリなどのオークションサイト、フリマサイトも同様の仕組みを導入すれば転売ヤーの販売チャネルを潰せますので、結果的に転売ヤーを排除できるでしょう。

ですがこれは販売店舗、販売サイト側双方に多大な負担となり、事務コストの増大を招きます。そこへ費やすリソースは膨大なものになるでしょう。
しかもその結果消費者からの称賛の代わりに得られるのは売上の減少です。営利企業がその損失を喜んで被るとは思えません。

法律で規制をかけ、無理やり従わせることは可能でしょうが、田舎でおばあちゃんひとりがやっているような雑貨屋さんにその負担を強いるのは難しいところでしょう。

もうひとつの問題

次の問題点は消費者が自分の所有物を中古屋に売ったりすることも規制対象になってしまうという点。

『小売業者から購入した商品の転売は不可』となれば個人が所有している物品を売ることができなくなります。古本屋に漫画を売ることも、ゲームショップにゲームソフトを売ることも許されなくなり、当然オークションサイトやフリマサイトに出品できるのは正規の仕入ルートを証明できる事業者だけになってしまいます。

「いやいや、中古品を売るのと新品の転売では意味が違うだろ」

という意見は当然あると思います。

では中古品はOKで新品はNGということにしましょう。

そうすると正規の販売業者が出品した物以外は全て中古品での出品・販売になります。
それがもたらすのは結局『中古・未開封美品』として販売されるだけの結果のような気がします。

そもそも転売ヤーが高額転売をしているのは正規の販売業者が品不足などで提供できていない商品です。
需要が存在する限り、価格についても『新品』の値段がそのまま『中古・未開封美品』の値段にスライドするのではないかと。

「個人が所有物を売るのは規制対象外にすべき」

という意見もあると思いますが、売られている商品がもともと個人の所有物なのかそうでないのか、買う側はいったいどうやって判別すれば良いのでしょうか。

「2個以上同じ物を売る人間は排除すれば良いんじゃね? 個人の所有物なら普通はPS5を2台とか持ってたりしないでしょ」

それだと転売ヤーは1種類ずつを複数の販売チャネルで売るようになるだけでしょう。
複数アカウントを作って使い分けるかもしれませんし。

「転売ヤーは定価で購入してそれを定価以上で売るんだから、定価以下での販売は規制対象外にすれば良い」

なるほど、それならば個人の中古販売は除外できますね。
でもそれだと廃盤になったCDなどプレミアがついてしまった物はたとえ個人の所有物であっても売れなくなります。
加えて定価のない商品(ハンドクラフト)などは定価の基準がないので判断できません。

難しい……

結局私の出来の悪い頭ではまっとうな転売者と転売ヤーの線引きをする有効な基準は思い浮かびませんでした。

強いて言うなら

  • 実店舗販売の事業者(小売店)は規制の対象外とする
  • ネット上の販売サイト(Amazon、ヤフオク、メルカリなど)では出品者に対して商品の正規仕入ルート証明を提出義務化する
  • 事業者登録していない出品者は1種類の商品につき出品できるのは1個のみとする
  • 事業者登録していない出品者は新品商品の出品を不可とする
  • 事業者登録していない出品者は定価のある物に関して、定価以上の価格をつけられないようにする
  • 定価あるいはメーカー希望小売価格が一般に明示されていない商品は出品を不可とする

という感じで規制をかけるくらいでしょうか?

これなら転売ヤーの大部分は排除できるのではないかと思います。

もっとも、売り場を提供する側も出品者側もものすごく事務手続きが増えますし、これを法律で強要するならメルカリの手数料が10%→15%くらいに上がってもおかしくはないでしょう。

ハンドメイド品は売れなくなりますし、加えて個人が所有している物品にたまたまプレミア価格がついてしまったら、もうそれをネットで売るのは諦めてください。という感じです。

霞ヶ関のエリート官僚さんたちなら私と比べものにならないくらい賢いのでしょうし、もっと良い基準を考えられるのでしょうから、ここはお任せしておくべきでしょうね。